今回は「交通事故」の第2回目です。私の事務所は相模原市内(最寄駅:小田急線・相模大野駅)にありますが、やはり交通事故の御相談は多いです。今回も、事故に遭われてしまった方にとって、何か一つでも役に立つような内容を記していきたいと思います。

 

私達の現代の生活において、自動車は欠かすことはできません。しかし、便利な道具にはリスクも存在します。「もしも赤信号待ちで停車中に、後ろから追突されたら…」、そのような事ばかり考えていては運転も怖くなってしまうかもしれませんが、実際に交通事故の被害者になるかもしれないということもあらかじめ想定しておかなければなりません。もしもの時に備えて、事故後の流れを事前に知っておくことは大切です。

そこで、今回は、交通事故被害者が知っておくべき事故後の流れについて、重要な部分をお伝えします。

 

1.交通事故との遭遇

まず、交通事故に遭ってしまったら、以前お伝えした「交通事故を起こしてしまった時に最初にしなければならない4つのこと」を思い出して下さい。ただし、今回は「被害者」であることを想定していますので、怪我の程度によっては何も出来ずに意識も無いまま救急車で運ばれてしまうという事態も十分に考えられます。

交通事故によっては、怪我が全く無いというケースから、事故現場での警察の実況見分に立ち会うことが出来ない程に重傷を負うというケースなど、様々なケースが考えられます。

本稿では加害者(手続きに協力的という設定)に比較的軽傷を負わされたことを前提とし、事故現場において警察と救急へ通報したというケースを一例として想定します

 

2.事故現場での警察による実況見分

事故現場に臨場した警察官は、交通事故により死傷者がいる人身事故の場合、事故状況の確認などの現場検証を行うのが通常です。事故の状況等によっては日時や場所を改めて実施することもあります。この現場検証の結果を書面としてまとめたものが実況見分調書と呼ばれるもので、後の刑事裁判や民事裁判において重要な証拠の一つとされることが多いです。

後の重要な証拠になりうるものですので、必ず実況見分に立ち会うべきであると言えます。その際には、位置関係やスピードなどの事故状況を正確に警察官に説明し、その説明内容が正確に実況見分調書に記載されているかどうかについても確認をし、もしも説明内容と記載が異なっている場合には積極的にその旨を警察官に伝え、訂正を求めるべきです。

これに対し、本稿で想定しているケースとは別に、重大な怪我を負ってしまった場合などは、実況見分に立ち会うことが出来ないという状況が考えられます。その場合には、結果的に一方当事者(多くは加害者)の言い分のみに基づいて実況見分調書が作成されてしまうことがあります。仮に、そのような場合であっても、他方当事者(多くは被害者)としては、事故から出来るだけ近い時期に、自己の言い分を基にした資料(例えば事故現場の写真や、位置関係を記載したメモ等)を証拠として残しておくことが重要になるでしょう。

 

3.病院への入通院

事故に遭われた方の多くは、事故現場から救急車で最寄りの救急病院などに搬送されます。そこでレントゲン撮影や医師の診察などを受け、症状により入院や自宅療養などの医師判断がなされるのが通常です。例えば、軽いムチ打ち症のような比較的軽傷の場合、入院はせずにそのまま自宅に帰ることになり、後日、近隣の整形外科などに通院をするということが多いかと思われます。なお、人身事故の場合は取得した診断書を警察に提出することが原則的な対応になるでしょう。

ここからの期間は、治療に専念する期間になります。一般的には、怪我の治癒あるいは症状が一進一退の状態である症状固定の時期まで、治療を継続することになります。この症状固定時期の判断については、医師の判断が尊重され、症状固定後にも後遺症が残る場合には、医師に後遺障害に関わる診断書を記載してもらう必要も出てきます。このように、やはり治療に関しては全般を通じて医師の判断が重要になりますので、医師との関係性や、病院の選定、治療の適合性などについて考えておく必要があるでしょう。

なお、相手方加害者が任意保険会社に加入している場合には、事故後間もなくして同社の担当者から電話などで連絡が来ることが通常です。ここで、治療費の支払い方法などについて協議をすることになるでしょう。また、ご自身が加入している任意保険会社があればそちらにもなるべく早く連絡をしておくべきでしょう。

その他、人身傷害補償保険の使用の要否、健康保険・労災などの諸手続きの要否についても必要に応じて適宜判断していくことになります。

 

4.症状固定後~後遺障害等級認定申請~示談交渉

例えば、頸椎捻挫や腰椎捻挫などのケースでは、もちろん症状により期間の長短はありますが、事故後6か月間経過での症状固定が一般的なひとつの基準になっています。そして、仮に事故後6か月間で症状固定となったとしても、その後も症状が続くようなケースでは、場合によっては引き続き通院を続けるなどしつつ、基本的には後遺障害等級認定の申請を行っていくことになります。詳しくはまた別稿で書きたいと思いますが、ここでは手続きの流れを押さえておいて下さい。

後遺障害等級認定の申請の後、結果が判明するまでの期間として、通常であれば概ね1か月~3か月程度を見込んでおいた方がよいと思われます。もちろんここでもケースにより期間の長短はあります。

本稿のケースでは、仮に6か月経過での症状固定を考えると、後遺障害等級認定の結果が判明するまでに、すでに約9カ月程度経過していることになります。そして、その後、加害者本人あるいは保険会社との示談交渉を行っていくというケースが一般的です。

ただし、症状によっては後遺障害等級認定の申請を行わないこととし、症状固定後に直ちに示談交渉に移るケースもあります。その他、後遺障害以外の部分に限定して先行示談を行い、後遺障害等級認定の申請についてはそのまま続行するというケースもありますが、この場合には全ての損害の清算では無く後遺障害部分を除くという趣旨であることを明記するなど、先行示談書の記載に注意が必要です。このような手続き上の注意点があり、後のトラブルにつながりかねないところですので、後遺障害部分も含めた形でまとめて示談を行うというケースが一般的という印象です。

仮に示談交渉が決裂してしまった場合には、ここから紛争処理センターや訴訟などの手続きに進むことになります。仮に訴訟を想定した場合では、ケースによりもちろん期間の長短はあるものの、示談交渉決裂時点から解決まで、準備期間等も含め少なくとも約1年程度はかかる可能性があると考えておいた方が良いと思われます。

 

5.まとめ

今回は交通事故被害者が知っておくべき事故後の流れについて、人身に関する重要な点の概要をお伝えしました。ここで記載し切れない点や、個々の論点についてはまた稿を改めたいと思いますが、ここではまず「交通事故の解決にはある程度の時間を要する」ということをイメージとして持っていただきたいと思います。事故から早期の段階で示談などをしてしまうと、その後の治療費や慰謝料等の請求が原則として出来なくなりますので注意が必要です。他方、あまり時間をかけ過ぎると相手方やその他各種機関に対して時効の問題なども生じうるところですので、慎重な判断が必要と言えるでしょう。