交通事故で示談交渉を行う際に注意しておくべき5つのこと(前編)
 
今回は「交通事故」の第3回目です。私の事務所は相模原市内(最寄駅:小田急線・相模大野駅)にありますが、やはり交通事故の御相談は多いです。事故に遭われてしまった方にとって、何か一つでも役に立つような内容を記していきたいと思います。今回は、前編・後編に分けてお伝えします。
 
 私達が被害者として交通事故に遭ってしまった場合、加害者からは適正な賠償を受ける必要がありますが、何が「適正な賠償」であるのかを知らなければ、交渉を行うことは事実上不可能です。交通事故の最終的な解決方法として訴訟にまで至るケースは実際はそこまで多くは無く、むしろ加害者と示談をすることで解決を図るケースの方が大勢を占めているというのが実務的な実感です。そのため、交通事故で加害者と示談を考えた際に注意すべき点を事前に把握しておくことは大切です。
 そこで、今回は交通事故の被害者側を想定し、交通事故で示談交渉を行う際に注意しておくべき5つのことをお伝えします。
 

1.賠償金額の基準を知っておくこと

  まず、加害者が任意保険に加入しており、示談代行サービスなどが付いている場合、被害者は加害者加入保険会社の担当者と示談交渉を行うというケースが多いでしょう。  
ここでまず知っておくべきことは、交通事故における損害賠償の算定基準は大きく分けて3つあるということです。すなわち、①自賠責保険の基準、②各任意保険会社の内部規定と思われる基準、③損害賠償額算定基準という出版物による基準(「裁判基準」、「赤い本基準」などと呼ぶこともあります)の3つが一般的です。この点、③の基準は交通事故の損害賠償に関する裁判例を集積したものであり、一般に①・②より高く算定されている傾向にあります。
もし、加害者加入保険会社の担当者から最終的な賠償金額の提案があるとすれば、その金額は①もしくは②に基づくものであることが通常ですので、その場合には③の基準に引き直して計算してみることが重要でしょう。各基準の詳細については、また別稿に譲りたいと思いますが、ここでは3つの基準があり、③損害賠償額算定基準という出版物による基準が一般に最も高額になる傾向にあるということを押さえておいて下さい。なお、各任意保険会社の担当者はこれら3つの基準の内容を全て把握しているのが通常です。
これに対して、加害者が任意保険に加入していない場合、話し合いを拒絶されるなど、事実上示談交渉自体が不可能になるというケースも珍しくは無く、最終的に訴訟に至る可能性が高いことになります。そこで、こちらからの損害賠償請求の前提として、①のみならず③による損害計算をしておく必要性はより高くなるでしょう。
 

2.必要書類を確認しておくこと

  次に、必要書類を確認しておくことも重要です。治療費の確認や、通院回数の把握など、賠償額に影響を及ぼすものについては少なくとも確認をしておいた方が良いでしょう。
例えば、代表的なものとしては事故状況の特定のために交通事故証明書を自動車安全運転センターから取得しておくべきですし、治療費などの算定のためには医師から診療報酬明細書を取得しておくべきです。その他、通院交通費をはじめとした事故のためにかかった費用を証明する資料(領収書等)なども合わせて揃えておくべきでしょう。これ以外にも確認や準備すべき書類はもちろんありますが、事故態様や状況によって異なってきますので注意が必要です。
 

3.示談交渉の相手方を把握しておくこと

  また、示談交渉の相手方が誰なのか(加害者本人、監督者、会社等)についても確認をしておくべきでしょう。あくまで適正な賠償を受けることが最終的な目的であると捉えると、相手方の特定には損害賠償の支払能力を加味した検討が必要になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合などには支払能力についてそれ程気にする必要は無いと思われますが、訴訟に至った際には立証の難易という視点も重要になってきますので、相手方の特定の検討は正確かつ慎重に行うべきです。
  例えば、加害者本人だけでなく、自動車の所有者に運行供用者責任を問えることも多いでしょう。また、従業員の雇用主(会社)なども場合によっては相手方になり得ますし、加害者が未成年者の時などは親権者の責任を検討する余地も出てくるでしょう。さらに、加害者が死亡してしまったケースなどでは、場合によりその相続人と交渉を行う必要が出てきます。
 
 この続きはまた後日更新致します。